三宅島・神津島・式根島・新島周辺海域の地震活動
以下の震源分布は、地震地殼変動観測センターで収録している地震波形データから、
手動で震源決定したものである。手動で行なっているため、すべての地震の震源決定
ができているわけではない。抜き取りであるため、
時間的な地震活動の変化を見るには適さない。
陸上の観測点だけでなく、震源直上にある海底地震計のデータも用い、
観測点補正値も適用して、震源決定精度の良いものだけを表示している。
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海底地震計を使って求めた震源分布図
(7月2日〜8月2日)
海域における震源決定には、直上の観測データが不可欠である。
我々は、海上保安庁水路部と海洋科学技術センターの協力を得て、
自己浮上型の海底地震計を設置している。何度か設置回収を
繰り返して、海域での観測データを取得してきたが、
その一部を再生し解析して得られた震源分布図である。処理した地震数は少ないが、
震源の深さに関する精度が上がり、分布に明瞭な特徴が見られるようになった。
北から西へ52度回転した方向で断面図を作ると、薄い面上の分布が見えてくる。
深さ約7km以深では、厚さ約2kmの板状に分布し、それより浅い部分では
震源は広がり広範囲に分布していることがわかる
(深さごとの震央分布を見ると明らかである)。
陸上の観測点で求めた震央分布を見て、それが線上に並んでいるときは震源は深く、
ばらけて広がって見えるときの震源は浅いと言えるかも知れない。
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神津島東方海域の拡大図(6月26日〜9月13日)
23日夜から24日午前中にかけての活動以降、
三宅島・神津島の中間海域の地震は少ない。
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三宅島・神津島周辺海域(6月26日〜9月13日)
の時系列
震源分布の南北断面の時系列を示す。三宅島で始まった活動が神津島近海まで
移動していき、M6.4の地震発生後から、
震源が何度も移動していることがわかる。
- 三宅島・神津島周辺海域1(6月26日〜9月13日)
過去5年間の震源分布と今回の活動。7月中の海底地震計の分布。
- 三宅島・神津島周辺海域2(6月26日〜9月13日)
最近5日間の震源分布と今回の活動全体。8月からの海底地震計の分布。
リアルタイムにデータを収集することができるブイテレメータも設置。
主な地震のメカニズム解も載せた。
- 神津島東方沖海域(8月3日〜8月4日)の時系列
神津島東方沖の拡大図。時系列や深さ分布。3日夕方から始まった激しい活動の
震源が北西、南東両方向へ移動していく様子がわかる。
- 海底地震計の配置
水路部と JAMSTEC と共同で24点の海底地震計を設置した。震源が海域にあるため、
深さ方向の精度の悪さを補うためである。
- 海底地震計を使った震源決定による震源の移動(7月8日)
震源直上におけるデータを利用することにより、深さ方向の決定精度が向上した。
ほとんどの地震が10km以浅である。
- 三宅島雄山の地震活動(6月26日〜7月21日)
山頂直下に直径1km程度の円柱状の震源分布が存在する。山頂での断続的な噴火
が始まった8日以前から地震活動は活発化し、現在でも活発ではあるが、
観測される地震波形が不明瞭になって来たため、震源としては
決めにくくなってきた。
- 観測センターの臨時観測
海底地震計の設置やブイテレメータの設置など、これまでの臨時観測の一覧。
問い合わせ:地震地殼変動観測センター 酒井慎一
coco@eri.u-tokyo.ac.jp