データ受信に必要な通信回線について

関係機関より提供を受けた地震波形データの流通及び利用に関するガイドライン」 にしたがって提供されるリアルタイム地震波形データを利用するには、利用許可されたデータを受信するために、データ量に見合った通信環境が必要です。

必要な帯域
サンプリングレート100Hzのデータの場合、受信方向の通信速度(帯域)は、1チャネルあたり200バイト/秒程度必要とお考えください。 1Mbpsの帯域で500チャネル程度伝送できることになります。伝送するチャネルは、受信側でチャネルリストを設定することにより自由に(ただし許可を受けた範囲で)選ぶことができ、動的に変更することも可能です。

配信方法の種類
地震データの配信方法には、
(1)JDXnet内でのブロードキャスト配信、
(2)フレッツVPNワイド等を利用したグループ内での配信、
(3)インターネット経由の配信、
の3種類があります。このうち(1)と(2)はデータ配信専用の閉域網を利用し、 (3)は公共のインターネット上を伝送します。

(1)JDXnet内でのブロードキャスト配信
JDXnetとは、SINET4とJGN-Xという2つの高速広域レイヤー2網を主体として、他にNTTフレッツ網を利用した、地震データ流通のための広域網です。 JDXnetの広域レイヤー2網上では全国のすべてのリアルタイム地震波形データがブロードキャストされており、このネットワークに接続することにより、希望するデータの受信が可能になります。SINET4やJGN-Xのアクセスポイントは全国の大学等にありますが、アクセスポイントに接続するまでの足回り回線は自前で用意していただく必要があります。またアクセスポイントには、ブロードキャストされたデータを受信・中継するためのPCが必要です。この方法は常時大量のデータを受信または送受信する大手機関向きです。

(2)フレッツVPNワイド等を利用したグループ内での配信
従来、特定のフレッツ回線のグループを閉域網で接続するサービスとして、 NTT東日本の「フレッツグループアクセス」およびNTT西日本の「フレッツグループ」がありましたが、現在ではそれらの後継サービスである「フレッツVPNワイド」に移行しつつあります。フレッツ回線としては、フレッツISDN、フレッツADSL、Bフレッツ、フレッツ光ネクストが利用できます。必要なデータを受信するのに十分な速度のフレッツ回線を自前で開設していただき、その回線を地震研のフレッツVPNワイド等のメンバー回線として登録していただくことになります。フレッツ回線の開設・維持費用は受信者側で負担していただきます。この方法は、必要なフレッツ回線が開設できる地域であればどこでも利用可能です。

(3)インターネット経由の配信
データがそれほど大量でなくて、十分高速なインターネット接続環境がある場合は、とりあえずそれを利用してデータを受信するこの方法がもっとも手軽で安価です。ただし受信用PCへデータ(UDP/IPパケット)を届かせるため、受信者側にファイアウォールがある場合は、それに「穴を開ける」必要があります。具体的にはファイアウォールの外側 (グローバルアドレス)の特定のUDPポートへ届いたパケットを、内側のデータ受信PCへと転送する設定です。再送要求パケットも通すためには、その逆方向にもパケットが通る必要があります。普通のファイアウォールやNATルーターであればこのような設定は可能ですが、大きな組織ではそのような設定をしてもらえるかどうかの問題があるかもしれません。

以上のいずれの場合でも、接続をご検討の方は地震研究所担当教員(酒井 慎一 e-mail)までご相談になり、接続が可能である見通しが立ってから必要な手続きをされるようお願いします。

地震波形データ受信利用の手引き