地震の前兆現象とは

大きな地震の起こる前に地震と関連した異常な現象が観測されることがあります。例えば地震の予知に成功した中国の海城地震(1975,M=7,3)の場合には発生の1日前から前震が増加しています。1964年の新潟地震(M:7.5)の場合は地震発生の数年前に異常な隆起が観測されています。1944年の東南海地震(M=8.O)の場合は地震発生の数時間前、掛川北方における測量において異常な隆起と思われる値が観測されました。現在地震予知が可能とされている唯一の地震である東海地震の場合はこのことが有力な根拠の一つになっています。しかしながら一般的には前兆現象の観測は困難です。震源の十分近くに観測点がないことや人工的なノイズのために信号が消されたりするからです。
地震は地殻内部の断層破壊ですが物質が壊れるときには必ず前兆的変化、特に変形があると考えられます。我々の身の回りにおいても物が壊れる前に前兆的変化を知ることは多くあります。例えば割り箸を曲げて折るときのことを考えます。箸に力を加えると変形(曲がり)が生じミシミシと音がし始めて最後にポキンと折れます。この曲がる状態が地殻変対応し、折れる前の前兆的現象とみなされます。しかしながらこの状態を遠く離れたところやスリガラスをとおして見ると変形もよく見えないし音も小さくなります。また雑音の大きいところで見ると変形はわかりますが音はよく聞こえません。これが現在前兆変化が観測されにくい状況に対応します。すなわち地震が発生している地殻内部の観測ではなく地表で観測しているからです。